発達障害と診断されて「どんな仕事が向いているのだろう」と悩む人は多いです。中には、夜勤ありの仕事を検討している人もいるでしょう。
結論からいうと、発達障害の人が夜勤で働くのは十分可能です。
筆者はADHDとASDグレーゾーンの発達障害持ちでありながら、製造業で夜勤の仕事を14年続けてきました。その結果、発達障害の人が夜勤で安定して働くためのコツが、実体験からわかってきたのです。
本記事を読めば、夜勤のメリット・デメリットがわかり、体調を崩すことなく安定して働くヒントが見つかります。ぜひ最後までお読みください。
発達障害でも夜勤はできる
法律上、発達障害持ちでも夜勤や交代勤務に制限はないため、問題なく夜勤ができます。
何か支障がある場合でも、会社に相談すれば解決できることは多いです。
例えば、筆者は隔週の平日に精神科に通っていたため、その日は午後休をとらせてもらっていました。また、バス通勤だった同僚は、バス酔いがひどく車通勤をしていた例もあります。
このように、業務に直接関係のないことでも配慮してくれる場合があります。通院や通勤で問題がある場合は、隠さずに会社に相談してみましょう。
発達障害持ちが夜勤をするメリット3選
発達障害持ちの人が夜勤をするメリットは以下の3つです。
- 給料が高い
- 職場の人数が少ない
- 朝の通勤ラッシュに巻き込まれない
給料が高い
夜勤で働く最大のメリットは、給料が高いことです。労働基準法では、22時から翌朝5時までの時間帯は、日勤よりも時給を25%高く設定すると定められています。
例えば、朝8時から8時間勤務する日勤と、夜20時から8時間勤務する夜勤で、1年間の給料を比較すると以下のようになります。(時給は1,000円、年間休日は120日とします。)
- 日勤:1,960,000円
- 夜勤:2,327,500円
夜勤は日勤より年間で約36万円、月間で約3万円多くもらえます。
さらに、交代勤務や休日出勤をすると手当が支給されるため、月収はさらに高くなります。
効率的にお金を稼ぎたい人におすすめです。
職場の人数が少ない
夜勤は、日勤と比べて働く人数が減ります。働く場所によっては、静かな職場で仕事ができるでしょう。
筆者も休憩室で仮眠する時、人の目が気にならずリラックスできました。人と関わるのが苦手な人にも夜勤はおすすめです。
朝の通勤ラッシュに巻き込まれない
夜勤のメリットは、朝の通勤ラッシュに巻き込まれないことです。電車やバスの通勤ラッシュに巻き込まれて、会社に着いた頃には疲れてしまう人も多いでしょう。
筆者はバス通勤で、日勤では会社に着くまで30分間立ちっぱなしになることがほとんどでした。一方、夜勤は日勤と比べると人が少なく、座席に座りながら通勤できました。
会社に着いた時に気力が残っているため、仕事に集中できて助かりました。通勤が楽になるのも夜勤のメリットです。
発達障害持ちが夜勤をするデメリット3選
発達障害持ちの人が夜勤で働くデメリットは3つあります。
- 体調管理が難しい
- トラブルに対応する人数が少ない
- 友人と予定が合わせにくい
体調管理が難しい
夜勤の仕事は、夜勤と日勤の繰り返しになるシフト制が多いです。そのため、生活リズムが乱れやすく、体調を崩しがちです。
例えば、なかなか寝付けず睡眠不足になると、疲れが取れず集中力が低下したり、作業が進まなかったりします。
発達障害のある人は、太陽の光や音などで睡眠が妨げられやすい傾向があります。夜勤明けに質の良い睡眠を取るには、以下のアイテムを活用しましょう。
- 遮光カーテン
- アイマスク
- 耳栓
遮光カーテンは1級のものを選ぶと、光を通さず昼間でも夜と同じような環境が作れます。アイマスクや耳栓は、100円ショップでも購入できます。
トラブルに対応する人数が少ない
夜勤ではその場に上司がいないため、トラブルが起きた場合は自分達で対処しなければいけません。発達障害持ちの人の中には、トラブルが起きた時に「頭が真っ白になる」人も多いでしょう。
筆者もトラブルになるたびに、どうしたらいいか分からなくなりました。しかし、会社にはマニュアルがあり、手順通りに作業することで、ケガをせずに作業を進められます。
トラブルはいつ起こるかわかりません。職場の人にマニュアルのある場所や、トラブルが起きた時の動き方を確認しておきましょう。
友人と予定が合わせにくい
夜勤は、平日の昼間に休みになる場合が多いです。そのため、友人と仕事終わりに遊ぶことが難しくなります。
友人との時間を大切にしたい人にはデメリットに感じるでしょう。
筆者が友人と遊びたい場合は、土日祝日のタイミングで誘っていました。もちろん、どうしても予定が合わず寂しく感じることもあります。
しかし「少ない機会だからこそ濃い時間を過ごそう」と考えると、遊びの一つひとつが特別な思い出になりました。
友人と遊ぶときは、思いっきり楽しんでストレス発散してください。
発達障害持ちでも夜勤で安定して働くコツ
発達障害持ちの人が、夜勤でも安定して働くコツを解説します。気軽にできる方法もあるので、ぜひ試してみてください。
- 運動を取り入れる
- リフレッシュ方法をたくさん持つ
- 食事を工夫する
運動を取り入れる
夜勤で安定して働くには体力が必要です。体力を向上させるには、運動を取り入れましょう。
筆者は、ジムに通い、筋トレをしていました。しかし、必ずしもジムを契約する必要はありません。
運動が苦手な人は散歩がおすすめです。
筆者の同僚は、仕事終わりに近所を30分散歩していました。1ヶ月以上続けて3キロ減量し、ストレス解消にもなったと話していました。
ジムや散歩が苦手な人でも、寝る前に軽いストレッチをすることで、寝つきが良くなります。体をほぐす効果もあるため、自分に合った方法を取り入れましょう。
リフレッシュ方法をたくさん持つ
発達障害持ちの人は、他の人と比べてストレスを抱えやすい傾向があります。自分では気づかないうちに、ストレスを溜め込んでいることもあります。
ストレス解消するには、リフレッシュ方法をたくさん持っておきましょう。筆者のリフレッシュ方法は、以下のとおりです。
- ゲーム
- 読書
- 散歩
- 近所のパン屋さんでパンを食べる
- ウィンドウショッピング
- お香を炊く
- 音楽を聴く
- 料理をして家族に振る舞う
上記の方法はほんの一部です。日頃からリフレッシュ方法を試して、自分なりのストレス解消法を探してみましょう。
食事を工夫する
夜勤で安定して働くには、食事の工夫が必要です。夜勤前は脂っこいものや刺激が強いものを食べないようにしましょう。消化器官に負担をかけ、免疫力が低下するからです。
夜勤前の食事は日勤と同じように、ご飯や魚、野菜などのバランスのいい食事をとるのがおすすめです。
夜勤後は疲れて何も食べたくないと思うかもしれません。しかし、何も食べず寝てしまうと免疫力低下につながります。身体のためにもなるべく食べましょう。
夜勤後は、暖かいスープやヘルシーな食べ物がおすすめです。内臓に負担が少なく、深い睡眠で体力回復にもつながります。
発達障害で夜勤に向いている人の特徴
発達障害持ちでも夜勤に向いている人には、共通している特徴があります。具体的には以下の3つです。
- 夜型の生活をしている
- 静かな環境で仕事したい
- どんな場所でも眠れる
夜型の生活をしている
普段から夜型の生活をしている人は、夜勤に向いています。夜型の人は夜に頭が冴えやすく、集中力が高まったり、ストレスを感じにくかったりします。
筆者の同僚にも「夜勤のほうがイキイキと働ける」という人もいました。
ただし、夜勤の仕事は心身に悪影響があります。体調管理を欠かさず、安定して働けるようにしましょう。
静かな環境で仕事したい
夜勤は職場に人が少ないため、静かな環境で仕事をしたい人にはおすすめです。発達障害の人の中には、大きな音や人の話し声が気になり、作業に集中できない人もいます。
夜勤では、自分のペースで仕事ができます。一人で黙々と作業したい人にはぴったりです。
どんな場所でも眠れる
どんな場所でも睡眠を取れる人は、夜勤に向いています。夜勤では昼間に睡眠をとりますが、多くの人は太陽の光や音でよく眠れない人も多いです。
夜勤は体へのダメージも大きいため、休憩時間に仮眠が取れると集中力も戻り、作業も捗ります。
職場で良く眠れない人は、耳栓やアイマスクを持参して仮眠をとりましょう。
アドバイス:発達障害のカミングアウトは全員に話さない
就職時に、発達障害を職場にカミングアウトしたほうがいいのか悩む人も多いです。結論からいうと、職場の全員に話す必要はありません。
発達障害であることを全員に話すと、差別や誤解をされる可能性があります。
ただし、上司や現場のリーダーには伝えておきましょう。他の人と平等に働ける工夫が受けやすくなるからです。
例えば、以下の例があります。
- イヤーマフを使用する
- パーテーションを使用する
- 電話対応をさせない
- 通院で半休を取る
- タスクはテキストで伝える
他の人と平等に働くための工夫をしてもらうことは、法律で認められている正当な権利です。
どうしても苦手なことがある場合は、就職時に会社に相談しましょう。
発達障害で就職に不安があるなら「就労移行支援」がおすすめ
発達障害持ちの人が夜勤で働くメリット・デメリットを経験者の視点から解説しました。
夜勤は日勤と比べて給料が高いのがメリットですが、体調管理が難しいデメリットもあります。しかし、運動や食事などを工夫すると夜勤でも安定して働けます。
発達障害持ちの人の中には、仕事が長く続かなかったり、前職のトラウマが残ったりして、就職に前向きになれない人も多いでしょう。
そんな時は、就労移行支援を利用するのがおすすめです。
就労移行支援とは、障害のある人が企業に就職を目指す際、企業で働くスキルや知識を身につけ、就職活動をサポートするサービスです。
なかでも、d-carrierは発達障害持ちの人を多く支援しています。
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