ADHDの人は、健常者よりも疲れやすいといわれています。疲れやすさへの対策を行わないと、二次障害を引き起こしたり、怒りっぽくなったりします。
実は、筆者もADHDです。他の人よりも疲れやすく、うつ病や適応障害を発症し、悩んでいた時期がありました。しかし、本や動画の内容を少しずつ実践して、その対策がわかってきたのです。
本記事では、ADHDの疲れやすさの原因とその対策を、筆者の体験を交えながら詳しく解説します。この記事を読めば、体調を崩すことなく充実した生活を送るヒントが得られます。
ADHDを抱えながらもストレスなく生活したい方は、ぜひ最後までお読みください。
ADHDの人が疲れやすい4つの理由
ADHDの人が疲れやすい理由は以下の4つです。
- 周りの環境に合わせてしまう
- 計画を先延ばしにしてしまう
- 過集中してしまう
- 行動・思考が多い
周りの環境に合わせてしまう
ADHDの人は、周囲の環境や人間関係に無理に合わせようと試みることがあります。しかし、実際には適応するのが苦手で、相手の表情や空気を読み取るには努力が必要なため、疲れやすいのです。
例えば、休憩中に誰かと会話しようと思っても、いつ話しかけようか考えてしまいます。気づいたら、誰とも会話できず、休憩時間が終わっていたことが筆者もあります。
周りに相談しても「考えすぎ」と言われ、解決策が見つからず、悩んでいました。
計画を先延ばしにしてしまう
ADHDの人はタスクの優先順位をつけるのが苦手で、やるべきことを先延ばしにしがちです。
計画が遅れると、期限に間に合わせるために、夜遅くまで作業をすることになります。その結果、睡眠時間が少なくなり、体力と集中力を大きく消耗してしまうのです。
また、ADHDの人は気になることがあると、そのことに意識が向き、やるべき作業を後回しにしてしまいます。
筆者は仕事があるのに、部屋の汚れが気になり掃除を優先したことで、深夜まで作業したことがありました。翌日は、睡眠不足であまり仕事が捗りませんでした。
過集中してしまう
過集中とは、好きなことや興味があることに対して、時間を忘れて行動することです。過集中の状態には、次の例があります。
- 集中し過ぎて時間を忘れる
- 何時間も休憩を取らず作業する
- 話しかけられたことに気づかない
- 寝食を忘れて作業する
ADHDの人は、過集中になりやすいです。過集中は、仕事では短時間で大きな成果を残すメリットがあります。しかし、一度集中が途切れると、その後の仕事に手がつけられない・無気力状態になるといったデメリットもあるのです。
つまり、過集中になると体力や集中力を使い切ってしまい、その反動で心身に強い疲労が残ります。
行動・思考が多い
ADHDの人は、次々と新しいアイデアが浮かんだり、やりたいことがたくさん出てきたりするため、複数のことを同時に進めようとしがちです。その結果、すぐに疲れてしまいます。
また、一つ気になることがあると、連想ゲームのように思考が広がるのもADHDの人の特徴です。考えている間は頭がフル回転しており、休息を取らないと脳疲労を起こします。
脳疲労が起こると、集中力・意欲の低下・感情の制御が難しくなるといった問題が起こります。
疲れやすさへの対策をしないと起こる問題
ADHDの人は疲れやすいので、対策を行わないと以下の問題に発展します。
- 二次障害につながる
- ささいなことで怒る
- 自信が持てない
二次障害につながる
二次障害とは、発達障害がきっかけで、他の精神疾患にかかることを指します。疲れやすさの対策をしないと、ストレスがかかり、二次障害を引き起こしやすくなるのです。
また、ADHDの人はストレスに弱く、発散が苦手な傾向があります。ストレスを溜め込む前に、早めに対処することが大切です。
二次障害への詳しい対処法や予防策は、以下の記事で解説しているので、興味がある方はぜひ参考にしてください。
二次障害が起きたときの対処法は?現れる症状や予防策を当事者が解説
ささいなことで怒る
疲れた状態が続くとストレスがたまってきます。すると、ささいなことで癇癪やパニックに陥る場合があります。これは発達障害の人は、感情のコントロールが難しいという特性があるからです。
筆者は子供の頃、癇癪持ちで怒りを感じたら大声で言い合いをした経験があります。当然、周りから「関わると面倒だ」と思われ、避けられていました。疲れが溜まると感情のコントロールが難しくなり、癇癪を起こしやすくなることを実感しました。
周りの人間関係を傷つけないためにも、普段から疲れやすさの対策をしましょう。
自信が持てない
発達障害の人は、過去の失敗経験や他の人と比べてしまい、自分に自信が持てない場合があります。疲れて気力がわかないときは、その傾向が強まりやすいです。自信がないと、以下のような問題が起こります。
- 自分から挑戦しない
- 自分を責めすぎる
- 人間関係がぎこちなくなり孤立してしまう
自分から挑戦しないと成長の機会を逃したり、自分を責めすぎるとうつ病や適応障害を発症したりする可能性があります。
また「周りに迷惑をかけたくない」「嫌われたくない」という気持ちから、自分から人付き合いを避けてしまいます。
つまり、自分に自信が持てないと自己肯定感が下がってしまい、自立した行動ができなくなるのです。
ADHDの疲れやすさへの対策4選
ADHDの人は健常者よりも疲れやすいですが、日常生活にちょっとした工夫を取り入れることで対処できます。以下の4つの対策が有効です。
- こまめに体調を評価する
- 自分を落ち着かせる言葉をかける
- 疲れていないときでも体のケアする
- 睡眠時間を確保する
こまめに体調を評価する
ADHDの人は、作業に集中すると疲れを自覚しないまま、作業を続けてしまいます。そのため、集中力が切れると、すぐに疲れてしまいます。
その場合は、こまめに自分の体調を10段階で評価しましょう。
自分で体調を評価できれば、翌日に疲れを残さないための対策が取れるようになります。例えば、今日の体調が10点中3点だと感じた場合、次の対処方法があります。
- お風呂に入って早く寝る
- 入浴剤を入れてお風呂に入る
- 夕飯は惣菜を買って帰る
筆者は、朝起きた時・昼休憩・午後の休憩時間によく自分の体調を評価していました。評価が良くない時は、早めに夜10時には寝て、体調管理を行っていました。
自分を落ち着かせる言葉をかける
自分を落ち着かせる言葉をかけることで、仕事でミスをしてパニックに陥った場合でも、落ち着いて対処できるようになります。例えば、以下の例があります。
- 大丈夫
- きっとうまくいく
- 気にすることじゃないよ
- リセットしよう
- いい勉強になった
- 私は私でいいんだ
筆者は仕事でミスをした時、「上司に次の行動の指示をもらおう」と唱えていました。問題が起きた時1人で判断すると、さらにミスが重なり、周りに迷惑をかける可能性があるからです。
また、ミスをした内容を覚えておくと、同じミスをした時に自分で対処できます。
疲れていないときでも体のケアする
ADHDの人は、作業の疲れを感じにくかったり、ストレスを自覚できなかったりします。気付かない内にストレスが溜まっており、思っている以上に疲れている場合があります。
そのため、疲れていない時でも体のケアをしましょう。
筆者が日頃から行っている体のケアは、以下のようなものがあります。
- お風呂に入浴剤を入れる
- 好きなものを食べる
- こまめに伸びをする
- マッサージガンを使って体をほぐす
- ストレッチをする
ADHDの人は飽きっぽいという特性があるため、いくつか体のケア方法を用意しておくと継続しやすいです。
睡眠時間を確保する
ADHDの人は生活リズムが乱れやすく、睡眠時間が少なくなりがちです。そのため、1日のスケジュールを立てるときには、あらかじめ睡眠の時間を確保しましょう。
睡眠不足になると、ADHDの特性が強く現れ、集中力や感情のコントロールがより難しくなるためです。
筆者はGoogleカレンダーに睡眠の予定を入れ、予定時間の30分前に通知が来るようにしています。
通知を受け取ることで、予定を実行しやすくなるメリットがあります。
ADHDの疲れやすさを理解し自分に合った働き方をしよう
本記事では、ADHDの人が疲れやすい原因や、筆者が行っている対策について解説しました。疲れを翌日に持ち越さなければ、仕事やプライベートを楽しめ、充実した毎日を送れます。
ADHDの人は健常者よりも行動・思考量が多く、過集中も起こりやすいため、疲れやすいです。疲れやすさへの対策を行わないと、ストレスがかかり、二次障害につながる可能性があります。
ただし、ADHDの人の中には「体調管理の方法がわからない」「専門家と相談しながら疲れやすさの対策をしたい」という人もいるでしょう。
その場合は「就労移行支援」を利用するのがおすすめです。
就労移行支援とは、一般企業で働きたい障害のある方が、必要な知識やスキルを身につけるための支援制度です。
なかでも、ミラトレは多くの発達障害者の支援を行っています。
例えば「体力をつけて週5日働きたい」「コミュニケーション能力を身につけたい」といった課題に応じて、具体的な目標設定が可能です。
また、プログラムの中には「オンとオフの切り替え講座」などがあり、ADHDを抱えながらも長く働くためのコツを学べます。
体験・見学は無料でできます。体調管理をして充実した生活を送りたい人は、気軽に相談してみてください。
