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発達障害の薬の副作用|対策と注意点を実体験を踏まえて解説

発達障害の薬には、副作用や依存性があるといわれています。とはいえ、主治医の指示に従って正しく服用すれば、過度に心配する必要はありません。

筆者も発達障害当事者です。3年前に「ADHD/ASDグレー」の診断を受けて以来、多くの治療薬を服用してきました。その結果、副作用との付き合い方がだんだんとわかってきたのです。

本記事では、発達障害の副作用について実体験を踏まえて解説します。副作用が起きたときの対策や、注意点を理解しておけば、落ち着いて対応できます。

発達障害の副作用について「よくわからない」「対策が気になる」という人は、ぜひ最後までお読みください。

目次

発達障害の薬でも副作用は起こる

市販の風邪薬や湿布にも副作用はあります。発達障害の薬でも副作用は起こるものの、死亡や入院につながるような重篤な副作用は稀です。

副作用には個人差があり、性別・体質・体重などによって異なります。精神科では、まず少ない量から服用を始め、様子を見ながら調整するのが基本です。

筆者は、ストラテラを1日1回75mg服用しています。腹痛の副作用が現れることはありますが、日常生活に支障が出るほどではありません。量を増やすと腹痛が強くなったため、現在の量に落ち着いています。

薬について気になる点があれば、診察時に主治医へ伝えましょう。「効果を感じない」「眠気で仕事に集中できない」など、具体的に伝えることで、薬の種類や量を調整してもらえます。

発達障害の薬の種類と主な副作用

発達障害の薬にはいくつか種類があります。ここでは薬の効果と副作用について解説します。

  • コンサータ
  • ストラテラ
  • エビリファイ

コンサータ

コンサータはADHDの治療に用いられる薬で、服用後にすぐ効き始める特徴があります。効果は約12時間持続し、以下の効果が見込まれます。

  • 集中力の向上
  • 落ち着きのなさの軽減
  • 1つのものに集中できないことの改善
  • 順序立てて行動できないことの改善

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は薬の成分や副作用などを公開しており、コンサータの主な副作用は以下のとおりです。

  • 食欲減退
  • 初期不眠症
  • 悪心(おしん)
  • 口渇(こうかつ)
  • 体重減少

筆者も、過去にコンサータを服用したところ、副作用で口渇になりました。

口渇とは、口の中や喉が乾燥しているように感じることです。水分を摂ってもすぐに喉が渇き、水を飲みすぎてお腹を壊したことがあります。

薬が自分に合っていないと思い、主治医に相談して、薬の種類を変更してもらいました。

ストラテラ

ストラテラは、ADHD治療に用いられる薬です。コンサータとは作用の仕組みが異なりますが、似た効果が得られます。2〜8週間服用することで徐々に効果が現れます。

PMDAが公開しているストラテラの主な副作用は以下のとおりです。

  • 食欲減退
  • 悪心
  • 腹痛
  • 頭痛
  • 傾眠

筆者は現在もストラテラを服用しており、腹痛の副作用はあります。ただし、服用を続けるうちに副作用はだんだんと軽くなっていきました。

エビリファイ

エビリファイは、ASDの治療に用いられる薬です。6歳から18歳未満の人も服用でき、衝動性や癇癪、急激な気分の落ち込みなどを緩和させる効果があります。

PMDAが公開しているエビリファイの主な副作用は以下のとおりです。

  • 不眠
  • 神経過敏
  • 不安
  • 傾眠

エビリファイは錠剤の薬です。子供に服用させる場合、錠剤がうまく飲み込めない人もいます。その場合は、液剤の入った小袋で処方も可能です。

副作用が起きたときの4つの症状と対策

副作用が起きたときでも、事前に対策がわかれば落ち着いて対応できます。ここでは、実際に筆者が経験した副作用の症状と、具体的な対策について解説します。

  • 腹痛
  • 眠気
  • 悪心(おしん)
  • 食欲不振

腹痛

筆者にもよく現れる副作用が腹痛です。コンサータやストラテラは胃への刺激が強く、そのまま服用すると胃が荒れてしまいます。そのため、以下の工夫が大切です。

  • 食後30分以内に服用する
  • 胃に優しいものを食べる
  • 主治医に相談して胃薬を処方してもらう

筆者は一度、食事を抜いて服用した経験があります。その日は腹痛が午後まで続き、仕事に集中できませんでした。ご飯を食べてから服用するように注意しましょう。

眠気

発達障害の薬を服用すると、眠気に襲われることがあります。眠気が強いときの対策は、以下のとおりです。

  • 服用時間を変更する
  • 薬を飲む量を減らす
  • 眠気の副作用がない薬に変更する

運転する人や機械を操作する人は事故につながる可能性があります。眠気が続く場合は、必ず主治医に相談しましょう。

悪心(おしん)

悪心とは、吐き気や胃から込み上げてくるような不快感のことです。具体的な対策は以下のとおりです。

  • 食後の服用を徹底する
  • 薬は水で飲む
  • 揚げ物・刺激物を避ける

また、身の回りの環境も大切です。芳香剤や生花などの匂いが強いものをそばに置くと、吐き気を催す原因になります。その場合は、窓を開けて換気をしましょう。

食欲不振

コンサータやストラテラを朝服用すると、効果が夕方まで持続し、食欲不振になりやすいです。その結果、昼食を抜いてしまう人もいます。対策は以下のとおりです。

  • 朝食か夕食をしっかり食べる
  • 少量で1日5〜6回食べる

食欲不振で昼食を抜いた場合は、朝食か夕食をしっかり食べてカロリーを補いましょう。一度にご飯を多く食べられない人は、一食の量を少なくして1日5〜6回食事を摂る方法もあります。ゼリーやヨーグルトなどがおすすめです。

発達障害の薬を飲む際の注意点

発達障害の薬を飲む際は、3つの注意点があります。指示どおりに薬を服用しないと症状が悪化したり、副作用が強くなったりする可能性があります。

  • 自己判断で断薬しない
  • 薬の個人輸入代行業者を利用しない
  • アルコールを飲まない

自己判断で断薬しない

「薬が効かない」「体調が悪くなった」などの理由で、医師の指示なしに断薬しないようにしましょう。

自己判断で断薬すると、薬の効果が得られず、病気の悪化・長期化につながります。薬に関して気になることがあれば、主治医や薬剤師に相談しましょう。

薬の個人輸入代行業者を利用しない

発達障害の薬を個人輸入代行業者から購入するのはやめましょう。個人輸入の薬には、医師の処方が必要な成分が配合されている場合があり、思わぬ副作用が起こるリスクがあります。

薬の個人輸入代行業者とは、海外の医薬品などをインターネット上で購入できるサイトのことです。

2023年9月に独立行政法人国民生活センターが公表した「個人輸入した医薬品、化粧品等にご注意!」によると、個人輸入した化粧品によって健康被害が報告されています。

患者(20歳代、女性)がインターネットの評判を見て購入した美白クリームを、皮膚の色素沈着のある部位に使用したところ、かぶれて色素沈着がより強くなった。

この事例は発達障害の薬の話ではありませんが、個人輸入代行業者で購入した薬は日本での安全性が確認されていません。そのため、他の薬でも同様の健康被害が起こる可能性があります。

発達障害の薬は、主治医から処方されたものだけを使いましょう。

アルコールを飲まない

発達障害の薬を服用している場合は、アルコールを摂取しないようにしましょう。薬の効果が強くなったり、副作用が重くなったりする可能性があるからです。

忘年会や新年会などでお酒を飲む機会がある場合は、主治医に相談してから飲みましょう。

発達障害の薬に関するよくある質問

発達障害の薬に関する質問に対して回答します。

  • ADHDの薬を飲むと性格が変わるのは本当?
  • 発達障害の薬を服用すると太るのは本当?
  • 薬を飲み忘れたときの対策は?

ADHDの薬を飲むと性格が変わるのは本当?

ADHDの薬を服用すると、集中力が高まり、落ち着いて行動できるようになる場合があります。薬を服用後に行動が変化するため、周りの人から「性格が変わった」と思われがちです。

しかし実際には、薬の服用によって本人の性格そのものが変化するわけではありません。

筆者もADHDの薬を服用していますが、性格は変わらず集中力や注意力が高まる程度です。

発達障害の薬を服用すると太るのは本当?

発達障害の薬には、食欲不振による体重減少の副作用があります。筆者も、薬を服用した日は食欲がわかず、昼食を抜いてしまいがちです。ただし、併用されている薬の影響で体重が増える場合があります。

気になる場合は、以下の対策をして体重をコントロールしましょう。

  • 定期的に体重計に乗る
  • 運動する時間を増やす
  • 食事の内容を見直す

体重が増加して不安になる場合は、主治医や薬剤師に相談しましょう。

薬を飲み忘れたときの対策は?

病院の薬を飲み忘れることは誰でもあります。具体的な対策は以下のとおりです。

  • ヘルスケアアプリで「服用時間」を通知してもらう
  • 100円均一のピルボックスを使い1週間分の薬を入れる

iPhoneのヘルスケアで服用時間を管理すると、入力するまで通知がホーム画面に表示され続けます。忘れっぽい人にもおすすめです。

副作用を理解したうえで発達障害の薬を使おう

どの薬にも副作用はあり、年齢・性別・個人の体質などによって症状は異なります。医師から処方された薬であれば、大きな問題が起こることはなく過度に心配する必要はありません。

はじめは副作用の強さに驚く方も多いですが、薬を飲み続けるうちに体が慣れ、次第に落ち着いていきます。

副作用が長く続いたり、仕事や生活に影響が出る場合は、主治医や薬剤師に相談しましょう。

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